2025年9月25日木曜日

日本とフィリピンの防災対応の違い!はじめに──自己紹介

日本の防災と海外の防災との比較ブログ!防災士、消防設備士、消防団員、 そして社会人大学院履修科目生として 知見を活かしながら防災の知恵を配信します

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はじめに──自己紹介

みなさん、こんにちは。
私は 防災士・消防設備士・消防団員 として活動しながら、現在は大学院で 危機管理学 を学んでいる「みのる」と申します。

日々の活動を通じて、災害が発生したとき「人や社会がどのように行動するか」について、強い関心を持ち続けています。特に、同じ地震国である 日本とフィリピンの防災の違い には注目しています。
両国ともに地震大国でありながら、文化やインフラ、社会の仕組みの違いから「地震発生後の行動」に大きな差が見られるのです。

この記事では、もし 「地震が発生した」 という場面を想定して、日本とフィリピンの防災対応の違いを紹介したいと思います。


 

日本とフィリピンの防災対応の違い!

1.「揺れた瞬間」の行動の違い

日本

日本では学校や職場で 避難訓練 が日常的に行われています。
そのため地震が起きた瞬間、多くの人は 「まず身を守る」 という行動を取ります。
机の下に潜る、頭を守る、火を消す──こうした動作が身体に染みついているのです。

「机の下に潜る行動は万能ではない」ーーその背景と状況依存性

1. 日本における基本的な行動指針とその科学的根拠

日本でも米国でも、 「Drop, Cover, and Hold On(身を低くし、隠れ、保持せよ)」 は標準的な地震時の行動指針として広く推奨されています。これは、揺れにより家具や物が倒れてくることによる被害を防ぐためであり、米国の地震安全サイトでも「ほとんどの場面でこれがもっとも安全な行動」とされています。

しかし、 「机の下に潜るだけで安全」とは一律に言えない とする意見もあります。実際、「Triangle of Life(命の三角地帯)」という概念のように、 机の横に身を寄せるほうが被害を免れやすい 場合があるとする専門的意見も存在します。専門家によるデルファイ研究では、胎児姿勢で覆いがない角(家具と壁の隙間)に身を寄せるほうが 砕けた瓦礫から生存空間が維持されやすい とする結果も示されています。

2. ただし、それぞれの状況によって最適な行動は異なる

防災情報を対象とする学術研究では、「人は必ずしも訓練通りには動かない」こと、また「行動の効果は環境・建物・文化・指導の内容によって変化する」ことが指摘されています。つまり、防災教育やアドバイスは 状況に応じた柔軟さが必要 だということです。

3. フィリピンでの現場状況と教育の現状

フィリピンでは、 「Duck, Cover, and Hold」は基本的技術として広く教育されている 一方で、インフラ整備や耐震性の観点では日本とは異なる課題を抱えています。耐震基準が十分でない建物も多く、そのような状況下では「まず屋外へ逃げるべきだ」とする判断も合理性を持ちます。

また、フィリピンのOCD(国家防災庁)も、機会あるごとに「Duck, Cover, and Holdは命を守る基本的手段」であると呼びかけ、教育や訓練の充実を図っています。

4. 日本 vs フィリピン:机の下に潜る行動をどう伝えるか

国・地域建物の耐震性推奨される行動背景・現場における判断の要因
日本高め(耐震設計が進んでいる)「まず身を守る(机の下)」が基本安定した建物環境の下で有効。訓練も定着。
フィリピン地域によりばらつきあり状況によって「屋外へ避難」や「机下に潜る」建物の安全性・情報インフラの差・訓練機会の違い。

改訂版文章案(机の下に潜る行動の状況差を含む)

以下は、記事中に組み込む「机の下に潜る(Duck, Cover, Hold)」行動に関する掘り下げ部分の例です:


「机の下に潜る」は万能ではない──状況に応じた冷静な判断を

地震発生時にまず「身を守る」行動の一つとして、机の下に潜る(Duck, Cover, and Hold) が広く推奨されており、日本でも学校や職場で実践訓練されています。これは、揺れによって飛んでくる物や倒れてくる家具から頭部や体を守るのに有効だからです。

ただし、全ての状況でこの行動が最適とは限りません。医学・救助の専門家によるデルファイ研究の中には、三角地帯(家具と壁の隙間)に胎児姿勢で身を寄せる「Triangle of Life」 のほうが、生存空間が維持されやすいという指摘もあります。特に建物崩壊のリスクが高い状況下では、この方法に利点があると評価されています。

加えて、地震時の人の行動は「訓練通りには動かない」という現実もあります。さらに、アドバイスの効果は 文化・メッセージの伝え方・建物の構造・個人の経験 によって変化します。すなわち、防災教育や準備には「状況に応じた柔軟な指導」が必要であると多くの研究が示唆しています。

日本では、耐震建築が整備された空間が多く、机の下に潜る行為は依然として高い効果を持ちます。しかし、フィリピンのように耐震性にばらつきがある地域では、「まず屋外に出て安全を確保する」「机の下に潜る」など、その場の安全状況を見極めた行動判断が非常に重要です。OCDでも「Duck, Cover, and Holdは基本だが、環境に応じた判断が必要」と指導されています。


2.「情報の受け取り方」の違い

日本

日本では地震が発生すると、すぐに 緊急地震速報防災無線、テレビ・ラジオ・スマホアプリから情報が流れます。
特にスマホの「けたたましいアラーム音」を経験した方も多いでしょう。

さらに、自治体は 避難所の開設状況や津波警報 を即時に伝達します。
情報が届くスピードと精度は、世界的にもトップクラスです。

フィリピン

フィリピンでは PHIVOLCS(フィリピン火山地震研究所) が中心となって情報を発表します。
ただし、通信インフラや電力供給が不安定な地域もあり、日本のように「一斉に全員へ」という形にはまだ課題があります。

そのため、多くの人が SNS(FacebookやX) で情報をシェアし合うことで最新情報を入手しています。特にFacebookは生活インフラに近い役割を担っています。

👉 まとめると

  • 日本:国家システムによる「公式速報」中心

  • フィリピン:SNSを使った「市民同士の共有」が重要


3.「避難と生活」の違い

日本

日本では自治体があらかじめ指定した 避難所(学校や体育館など) に集まります。
備蓄された食料や水、毛布が配布される体制があり、ボランティアや自衛隊の支援も加わります。

ただし、日本でも課題はあります。避難所のプライバシー確保、トイレの不足、ペット対応の遅れなど、改善すべき点は多いのです。

フィリピン

フィリピンでは教会や広場、公共施設などが避難場所になります。
しかし政府による備蓄が不足していることも多く、家族や地域コミュニティが食料や水を持ち寄る 形が一般的です。

また、フィリピンは家族の結びつきが強いため、親戚や知人の家に一時的に避難するケースも多く見られます。これは「共助」が文化として根付いている証拠ともいえます。

👉 まとめると

  • 日本:行政主体の避難所運営

  • フィリピン:家族・地域主体の避難生活


4.「復旧・復興」に向けての違い

日本

日本ではインフラ復旧のスピードが非常に早いのが特徴です。
電気・水道・道路が復旧するまでの平均日数は世界的にも短く、政府や企業の連携体制が整っています。

ただし「形式的な復旧が早い一方で、被災者の心のケアや地域再生は時間がかかる」という課題も残ります。

フィリピン

フィリピンでは、資金や人材不足のため復旧に時間がかかるケースが多いです。
特に住宅再建やライフラインの復旧が遅れ、被災者が長期間にわたって仮設生活を余儀なくされることもあります。

その一方で、地域の人々が 助け合って自力で家を修繕する文化 があるため、日本では見られない強い自立性が発揮されます。


おわりに──学び合うことの大切さ

地震が発生したとき、日本とフィリピンでは 「行動・情報・避難・復旧」 の各段階で違いがあります。

  • 日本は「制度とインフラ」が整っている

  • フィリピンは「家族とコミュニティ」が強い

どちらが優れている、という話ではありません。
むしろ互いの違いを学び合うことで、よりバランスの取れた防災が可能になると私は考えています。

日本はフィリピンから「人と人の支え合いの強さ」を学び、
フィリピンは日本から「制度とインフラの仕組み」を学ぶ。

このような相互学習が、これからの防災のキーワードになるのではないでしょうか。

最後に、私がいつも防災活動で伝えている言葉を置きます。

「備えは愛だ!」

大切な人を守るために──日本でもフィリピンでも、日々の備えを大切にしていきましょう。


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運営者プロフィール

 

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✦ サイト名:Minoru Bousai|Stay Safe in Japan – 防災の知恵
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ようこそ! 「みのる防災」の防災ブログ へ。
ご訪問いただきありがとうございます。ぜひ、あなたの暮らしに役立つ防災情報をお受け取りください。




自己紹介

こんにちは、防災をテーマに発信している みのる です。

現在は、

  • 防災士

  • 消防設備士

  • 消防団員

  • 1級造園施工管理技士

  • 香川大学大学院 履修科目生(危機管理学を専攻)

として活動しています。


このブログについて

地震・台風・大雨など、自然災害はいつ起こるかわかりません。
もしものとき、あなたと大切な人の命を守るために「今できる備え」を一緒に考えていく。
それが当ブログの目的です。

このブログでは日本と諸外国の防災の比較をメインとして、防災を考えます。

家庭での防災、企業の事業継続(BCP)、防災グッズの選び方など、幅広い視点から「実践できる防災知識」をお届けします。


メッセージ

防災は「特別なこと」ではなく、日常の延長線上にある大切な習慣です。
このブログが、あなたやご家族の安心につながれば幸いです。


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2025年9月23日火曜日

第3回:日本とアメリカの防災はなぜ違うのか?―文化的背景のさらに深い視点:農耕と狩猟の記憶

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日本とアメリカの防災の違い


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文化的背景のさらに深い視点:農耕と狩猟の記憶

日本人の「共助文化」は、長い農耕社会の歴史と深く結びついています。
田植えや稲刈りなどは一人ではできず、村落単位で協力しなければ成り立ちませんでした。自然災害も「村ぐるみ」で対処する必要があり、その延長線上に「自主防災組織」や「消防団」の文化があります。

一方アメリカ社会の根底には「フロンティア開拓」や「狩猟社会」の記憶が残っています。
西部開拓時代には、家族単位で荒野に暮らし、時には自衛のために銃を手にしました。近隣の助けを借りるよりも、まず「自分たちで守る」ことが基本姿勢。これが現在の「自助徹底」や「1週間以上の備蓄」に直結しています。

👉 日本:協力と分業が生き残りの鍵
👉 アメリカ:独立と自己防衛が生き残りの鍵

つまり、現在の防災スタイルは 「歴史の記憶」が社会規範として残っている ことを示しています。


具体例でみる「文化の記憶」

  • 日本の避難所は体育館や公民館での「共同生活」が前提。プライバシーは後回しでも「みんなで生き延びる」が優先されます。

  • アメリカの避難所は教会やNPOが主導し、家族単位の区画やプライバシーが重視される傾向があります。

こうした違いも、農耕文化(共同体重視)と狩猟文化(家族単位重視)の延長線上にあると考えられます。


学べること

日本は「共助文化の強み」をさらに磨き、アメリカは「自助文化の強み」を持っています。
もし両方を組み合わせられれば──

  • 日本に「1週間以上の個別備蓄」を普及させる

  • アメリカに「地域共助の仕組み」を導入する
    といった形で、より強い防災社会を築くことができるでしょう。

👉 災害大国・日本の次のステップは「自助と共助の融合」かもしれません。


参考・出典

  • 内閣府防災「防災担当の役割」

  • 災害対策基本法(e-Gov)

  • FEMA Official Website (Federal Emergency Management Agency)

  • Tierney, K. (2014). The Social Roots of Risk: Producing Disasters, Promoting Resilience. Stanford University Press.

  • Diamond, J. (1997). Guns, Germs, and Steel: The Fates of Human Societies. W.W. Norton & Company.

  • Bellah, R. (1957). Tokugawa Religion: The Cultural Roots of Modern Japan. Free Press.

  • Cronon, W. (1983). Changes in the Land: Indians, Colonists, and the Ecology of New England. Hill and Wang.


👉 次回は予告されていた「FEMAと日本の防災組織──司令塔の違い」をより深掘りできます。





2025年9月5日金曜日

第2回:日本とアメリカの防災はなぜ違うのか?──歴史・地理・文化的背景から考える

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1. 地理的背景:地震列島と多災害大陸

日本は「地震+水害」の複合災害が集中する国です。

  • 南海トラフ、首都直下、火山噴火

  • 豪雨・台風・土砂災害

一方アメリカは「国土が広すぎる」ため、地域ごとに災害が違います。

  • 東部:ハリケーン

  • 中西部:竜巻

  • 西部:山火事・地震(カリフォルニア)

👉 日本=全国共通の脅威に対応
👉 アメリカ=州ごとに全く違う災害に対応


2. 歴史的背景:戦後復興と冷戦構造

日本の防災制度は、戦後の復興と高度経済成長の中で整備されました。
特に阪神・淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)を契機に、法律や計画が次々と改正され、内閣府防災や自治体の仕組みが強化されてきました。

アメリカは違います。冷戦期、まず想定したのは「核攻撃」。
市民防衛(Civil Defense)としてシェルターや避難訓練が展開され、その後「自然災害にも対応できる仕組み」へと拡張。
こうして1979年に**FEMA(連邦緊急事態管理庁)**が誕生しました。

👉 日本=自然災害を軸に制度進化
👉 アメリカ=軍事防衛から民間防災へ転換


3. 文化的背景:集団主義と個人主義

日本は「共助」を重んじる社会です。

  • 自主防災組織

  • 消防団

  • 避難所での共同生活

アメリカは「自助」が基本。

  • 家族単位で1週間以上の備蓄を推奨

  • 教会やNPOが避難所や支援を担う

  • 銃社会ゆえに自己防衛意識が強い

👉 日本=「みんなで避難」
👉 アメリカ=「まずは家族を守る」


4. 体制の違い:司令塔は誰か?

  • 日本:内閣府や防災担当大臣が中心。複数の省庁を調整する「横断型」。

  • アメリカ:FEMAが大統領直轄で動く「一元型」。

👉 日本=調整型、アメリカ=司令塔型

この違いが、災害対応のスピードや責任の所在に大きく影響します。


5. 市民の認識の違い:72時間と7日間

日本では「72時間の壁」が一般的です。
一方、FEMAは “at least 7 days” の備蓄を推奨しています。

  • 日本:公的支援が比較的早く届く前提

  • アメリカ:支援は遅れる前提、だから発電機や大量備蓄

👉 ここにも「中央依存型」と「自助徹底型」の差が表れています。


まとめ:違いを知ることが備えにつながる

日本とアメリカは、地理・歴史・文化が違うからこそ、防災の姿も異なります。

  • 日本は「組織力と共助」に強み

  • アメリカは「自助と民間力」に強み

どちらが優れているかではなく、両方の長所を学び合うことで、より強い防災モデルを築けるのではないでしょうか。


🔜 次回予告

次回は 「FEMAと日本の防災組織──司令塔の違い」 に迫ります。
「調整型の日本」と「一元型のアメリカ」。
同じ“司令塔”でも、その役割はまったく違うのです。


🔖 参考・出典

  • 内閣府防災「防災担当の役割」

  • 災害対策基本法(e-Gov)

  • FEMA Official Website (Federal Emergency Management Agency)

  • Haddow, G., Bullock, J., & Coppola, D. (2017). Introduction to Emergency Management. Elsevier.

  • Tierney, K. (2014). The Social Roots of Risk: Producing Disasters, Promoting Resilience. Stanford University Press.


※これは筆者の感想ですが──
日本人の「共助文化」は農耕民族の歴史、アメリカの「自助文化」は狩猟民族の歴史を思い出させます。





2025年9月4日木曜日

日本とアメリカの防災はなぜ違うのか?──歴史・地理・文化的背景から考える

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日本とアメリカの防災はなぜ違うのか?

──歴史・地理・文化的背景から考える


序章:同じ「防災」でも根っこが違う

「防災」という言葉は世界共通に見えても、その中身は国によって大きく異なります。
特に日本とアメリカ、この二つの国の防災対応は、歴史・地理・文化の背景が大きく違うため、制度や市民の意識にまで差が生まれています。

ここでは「なぜ日米で防災の姿が違うのか」を、土台となる背景から整理します。




1. 地理的背景:地震列島と多災害大陸

日本は言わずと知れた「地震列島」です。

  • 南海トラフ、首都直下、活火山…

  • 国土の7割が山地で、豪雨・台風・土砂災害も多発。

一方アメリカは、広大な国土に多様な災害が発生します。

  • 東部:ハリケーン

  • 中西部:竜巻

  • 西部:山火事・地震(カリフォルニア)

  • アラスカ:大地震・津波

👉 日本=「地震+水害」に集中
👉 アメリカ=「地域ごとに災害が違う」

この違いが、「全国一律で整える日本型」と「州ごとに分権するアメリカ型」を生み出しました。


2. 歴史的背景:戦後復興と冷戦構造

日本の防災体制は、戦後の復興と高度成長期に整備されました。
阪神・淡路大震災(1995)、東日本大震災(2011)と大規模災害を経験し、災害対策基本法やBCP(事業継続計画)が強化されてきました。

アメリカでは、冷戦期の**民間防衛(Civil Defense)**が基盤です。
核攻撃を想定したシェルター整備や市民教育が発展し、その後「自然災害にも対応する組織」としてFEMA(連邦緊急事態管理庁)が誕生しました。

👉 日本=「自然災害を起点に制度進化」
👉 アメリカ=「軍事防衛から民間防災へ転換」


3. 文化的背景:集団主義と個人主義

日本は「共助」を重んじる社会です。

  • 自主防災組織

  • 消防団

  • 避難所での共同生活

一方アメリカは「自助」が基本。

  • 家族単位で1週間以上の備蓄を推奨

  • 銃社会のため、治安維持や自己防衛が前提

  • 教会やNPOが避難所や支援の中心

👉 日本=「みんなで避難・分け合う」
👉 アメリカ=「自分と家族をまず守る」


4. 組織体制の違い:中央集権と分権

  • 日本:内閣府、防災担当大臣、都道府県が中心。法律で一律に指揮系統が決まる。

  • アメリカ:FEMAが連邦組織だが、実際には「州知事」が最初の指揮権を持ち、連邦の支援を要請する仕組み。

つまり、日本=中央主導/アメリカ=州主導
災害が起きたとき、どのレベルで意思決定されるかがまったく違います。


5. 市民の認識の違い:72時間と7日間

日本では「72時間の壁」が一般的です。
一方、アメリカのFEMAは**“at least 7 days”**の自助を推奨しています。

  • 日本:公的支援が早く届くことを期待

  • アメリカ:支援は遅れる前提。だから家に水・食料・発電機

この差が「備蓄の規模」と「防災グッズ市場の違い」に直結します。


結論:違いを知ることが強い備えにつながる

日本とアメリカ、どちらのやり方が優れているという話ではありません。

  • 日本は「組織力・共助」に強み

  • アメリカは「自助・民間力」に強み

👉 どちらも学び合うことで、「より現実的で強い防災」が見えてきます。

シリーズ全体では、制度・企業・市民意識の違いを掘り下げ、ハイブリッド型の防災モデルを考えていきます。

🔖 出典・参考

・内閣府 防災情報「日本の自然災害の特徴」 https://www.bousai.go.jp/ 

・FEMA Official Site – History and Ready Campaign https://www.fema.gov/

・消防庁「自主防災組織の育成指針」 https://www.fdma.go.jp/

・日本赤十字社「災害時の72時間」 https://www.jrc.or.jp/

・USGS "Natural Hazards" https://www.usgs.gov/


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2025年9月1日月曜日

防災・災害など国際比較のカテゴリページ

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日本とタイの防災──地震発生時の行動を比較する

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日本とタイの防災──地震発生時の行動を比較する

はじめに──自己紹介

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私は 防災士・消防設備士・消防団員 として活動しながら、現在は大学院で 危機管理学 を学んでいる「みのる」と申します。

日々の活動を通じて「災害が起きたとき、人や社会がどのように行動するか」に強い関心を持っています。
前回はフィリピンとの比較を紹介しましたが、今回は タイと日本の防災対応の違い に注目します。

タイは「地震国」というイメージが薄いかもしれません。しかし北部(チェンマイやチェンライ)では活断層が多く、2014年にはM6.1のチェンライ地震が発生し大きな被害を出しました。
文化・社会システムの違いから、日本とタイの防災対応には明確な差が見られます。


1.「揺れた瞬間」の行動の違い

日本

  • 学校・職場で定期的に避難訓練が行われる

  • 「まず机の下に潜る」「頭を守る」行動が広く定着

  • 「Drop, Cover, Hold」の指針が全国的に浸透

タイ

  • 日常的な避難訓練は都市部・学校に限られる

  • 北部の活断層地域では教育が進んでいるが、全国的には「地震を想定した行動」が浸透していない

  • 特に商業施設や観光地では「建物の外に急いで出る」行動が一般的

👉 日本は 耐震設計に守られた屋内で身を守る行動、タイは 建物の安全性に不安があるため屋外に避難 が多いのが特徴。


2.「情報の受け取り方」の違い

日本

  • 緊急地震速報(EEW)がスマホやテレビに瞬時に配信

  • 防災無線やラジオも含め、全国的な情報網が整備

  • 「どこでも誰でも同じ情報」を同時に受け取れる強み

タイ

  • 地震情報は 気象局(TMD) が発表

  • ただし全国一斉の緊急速報システムは未整備

  • 実際には Facebook・LINE・テレビ が主要情報源

  • 観光客は英語情報を得られず混乱することも

👉 日本は 国家システム依存型、タイは SNS共有依存型


3.「避難と生活」の違い

日本

  • 自治体指定の避難所(学校・体育館)が中心

  • 水・食料・毛布の備蓄あり

  • プライバシーやペット対応に課題は残るが、最低限の物資は保障

タイ

  • 教会・寺院(ワット)・公共広場などが避難場所

  • 政府備蓄は不足しがちで、家族や地域での持ち寄りが基本

  • 仏教寺院は精神的支えとしても重要な役割を果たす

👉 日本:行政主導の避難所運営
👉 タイ:宗教・地域共同体に依存した避難生活


4.「復旧・復興」の違い

日本

  • 電気・水道・道路の復旧は世界的に早い

  • ただし「心のケア」「地域再建」は長期化

タイ

  • 資金・人材不足で復旧は遅れやすい

  • 一方で、地域住民が自力で修繕・再建する「自助の強さ」が特徴的

  • 仏教僧や地域リーダーが復旧の精神的支柱になる


おわりに──学び合うことの大切さ

日本とタイでは「行動・情報・避難・復旧」の各段階で大きな違いがあります。

  • 日本は「制度とインフラ」が強い

  • タイは「地域と信仰」による支え合いが強い

どちらが優れているという話ではなく、互いの違いを学び合うことで新しい防災の形が見えてきます。

私は常に伝えています。

「備えは愛だ!」

大切な人を守るために──日本でもタイでも、日々の備えを忘れないでください。


🔖 出典・参考リンク

  • TMD(タイ気象局):https://www.tmd.go.th/en

  • PNA(Philippine News Agency:比較記事で参照)

  • ShakeOut(米国地震安全キャンペーン):https://www.shakeout.org/

  • UNDRR(国連防災機関:ASEAN地域防災レポート)


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オランダの防災──“水と共生”する国の知恵を学ぼう

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