日本とタイの防災──地震発生時の行動を比較する
はじめに──自己紹介
みなさん、こんにちは。
私は 防災士・消防設備士・消防団員 として活動しながら、現在は大学院で 危機管理学 を学んでいる「みのる」と申します。
日々の活動を通じて「災害が起きたとき、人や社会がどのように行動するか」に強い関心を持っています。
前回はフィリピンとの比較を紹介しましたが、今回は タイと日本の防災対応の違い に注目します。
タイは「地震国」というイメージが薄いかもしれません。しかし北部(チェンマイやチェンライ)では活断層が多く、2014年にはM6.1のチェンライ地震が発生し大きな被害を出しました。
文化・社会システムの違いから、日本とタイの防災対応には明確な差が見られます。
1.「揺れた瞬間」の行動の違い
日本
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学校・職場で定期的に避難訓練が行われる
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「まず机の下に潜る」「頭を守る」行動が広く定着
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「Drop, Cover, Hold」の指針が全国的に浸透
タイ
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日常的な避難訓練は都市部・学校に限られる
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北部の活断層地域では教育が進んでいるが、全国的には「地震を想定した行動」が浸透していない
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特に商業施設や観光地では「建物の外に急いで出る」行動が一般的
👉 日本は 耐震設計に守られた屋内で身を守る行動、タイは 建物の安全性に不安があるため屋外に避難 が多いのが特徴。
2.「情報の受け取り方」の違い
日本
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緊急地震速報(EEW)がスマホやテレビに瞬時に配信
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防災無線やラジオも含め、全国的な情報網が整備
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「どこでも誰でも同じ情報」を同時に受け取れる強み
タイ
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地震情報は 気象局(TMD) が発表
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ただし全国一斉の緊急速報システムは未整備
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実際には Facebook・LINE・テレビ が主要情報源
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観光客は英語情報を得られず混乱することも
👉 日本は 国家システム依存型、タイは SNS共有依存型。
3.「避難と生活」の違い
日本
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自治体指定の避難所(学校・体育館)が中心
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水・食料・毛布の備蓄あり
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プライバシーやペット対応に課題は残るが、最低限の物資は保障
タイ
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教会・寺院(ワット)・公共広場などが避難場所
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政府備蓄は不足しがちで、家族や地域での持ち寄りが基本
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仏教寺院は精神的支えとしても重要な役割を果たす
👉 日本:行政主導の避難所運営
👉 タイ:宗教・地域共同体に依存した避難生活
4.「復旧・復興」の違い
日本
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電気・水道・道路の復旧は世界的に早い
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ただし「心のケア」「地域再建」は長期化
タイ
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資金・人材不足で復旧は遅れやすい
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一方で、地域住民が自力で修繕・再建する「自助の強さ」が特徴的
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仏教僧や地域リーダーが復旧の精神的支柱になる
おわりに──学び合うことの大切さ
日本とタイでは「行動・情報・避難・復旧」の各段階で大きな違いがあります。
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日本は「制度とインフラ」が強い
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タイは「地域と信仰」による支え合いが強い
どちらが優れているという話ではなく、互いの違いを学び合うことで新しい防災の形が見えてきます。
私は常に伝えています。
「備えは愛だ!」
大切な人を守るために──日本でもタイでも、日々の備えを忘れないでください。
🔖 出典・参考リンク
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TMD(タイ気象局):https://www.tmd.go.th/en
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PNA(Philippine News Agency:比較記事で参照)
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ShakeOut(米国地震安全キャンペーン):https://www.shakeout.org/
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UNDRR(国連防災機関:ASEAN地域防災レポート)
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