2025年9月4日木曜日

日本とアメリカの防災はなぜ違うのか?──歴史・地理・文化的背景から考える

日本の防災と海外の防災との比較ブログ!防災士、消防設備士、消防団員、 そして社会人大学院履修科目生として 知見を活かしながら防災の知恵を配信します
 今回のテーマ!
日本とアメリカの防災の違い

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このブログの価値とは?
「防災って大事だと分かってる。でも正直、めんどくさい…」

本日のテーマ!

日本とアメリカの防災はなぜ違うのか?

──歴史・地理・文化的背景から考える


序章:同じ「防災」でも根っこが違う

「防災」という言葉は世界共通に見えても、その中身は国によって大きく異なります。
特に日本とアメリカ、この二つの国の防災対応は、歴史・地理・文化の背景が大きく違うため、制度や市民の意識にまで差が生まれています。

ここでは「なぜ日米で防災の姿が違うのか」を、土台となる背景から整理します。




1. 地理的背景:地震列島と多災害大陸

日本は言わずと知れた「地震列島」です。

  • 南海トラフ、首都直下、活火山…

  • 国土の7割が山地で、豪雨・台風・土砂災害も多発。

一方アメリカは、広大な国土に多様な災害が発生します。

  • 東部:ハリケーン

  • 中西部:竜巻

  • 西部:山火事・地震(カリフォルニア)

  • アラスカ:大地震・津波

👉 日本=「地震+水害」に集中
👉 アメリカ=「地域ごとに災害が違う」

この違いが、「全国一律で整える日本型」と「州ごとに分権するアメリカ型」を生み出しました。


2. 歴史的背景:戦後復興と冷戦構造

日本の防災体制は、戦後の復興と高度成長期に整備されました。
阪神・淡路大震災(1995)、東日本大震災(2011)と大規模災害を経験し、災害対策基本法やBCP(事業継続計画)が強化されてきました。

アメリカでは、冷戦期の**民間防衛(Civil Defense)**が基盤です。
核攻撃を想定したシェルター整備や市民教育が発展し、その後「自然災害にも対応する組織」としてFEMA(連邦緊急事態管理庁)が誕生しました。

👉 日本=「自然災害を起点に制度進化」
👉 アメリカ=「軍事防衛から民間防災へ転換」


3. 文化的背景:集団主義と個人主義

日本は「共助」を重んじる社会です。

  • 自主防災組織

  • 消防団

  • 避難所での共同生活

一方アメリカは「自助」が基本。

  • 家族単位で1週間以上の備蓄を推奨

  • 銃社会のため、治安維持や自己防衛が前提

  • 教会やNPOが避難所や支援の中心

👉 日本=「みんなで避難・分け合う」
👉 アメリカ=「自分と家族をまず守る」


4. 組織体制の違い:中央集権と分権

  • 日本:内閣府、防災担当大臣、都道府県が中心。法律で一律に指揮系統が決まる。

  • アメリカ:FEMAが連邦組織だが、実際には「州知事」が最初の指揮権を持ち、連邦の支援を要請する仕組み。

つまり、日本=中央主導/アメリカ=州主導
災害が起きたとき、どのレベルで意思決定されるかがまったく違います。


5. 市民の認識の違い:72時間と7日間

日本では「72時間の壁」が一般的です。
一方、アメリカのFEMAは**“at least 7 days”**の自助を推奨しています。

  • 日本:公的支援が早く届くことを期待

  • アメリカ:支援は遅れる前提。だから家に水・食料・発電機

この差が「備蓄の規模」と「防災グッズ市場の違い」に直結します。


結論:違いを知ることが強い備えにつながる

日本とアメリカ、どちらのやり方が優れているという話ではありません。

  • 日本は「組織力・共助」に強み

  • アメリカは「自助・民間力」に強み

👉 どちらも学び合うことで、「より現実的で強い防災」が見えてきます。

シリーズ全体では、制度・企業・市民意識の違いを掘り下げ、ハイブリッド型の防災モデルを考えていきます。

🔖 出典・参考

・内閣府 防災情報「日本の自然災害の特徴」 https://www.bousai.go.jp/ 

・FEMA Official Site – History and Ready Campaign https://www.fema.gov/

・消防庁「自主防災組織の育成指針」 https://www.fdma.go.jp/

・日本赤十字社「災害時の72時間」 https://www.jrc.or.jp/

・USGS "Natural Hazards" https://www.usgs.gov/


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