2025年9月5日金曜日

第2回:日本とアメリカの防災はなぜ違うのか?──歴史・地理・文化的背景から考える

日本の防災と海外の防災との比較ブログ!防災士、消防設備士、消防団員、 そして社会人大学院履修科目生として 知見を活かしながら防災の知恵を配信します

今回のテーマ
日本とアメリカの防災の違い


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このブログの価値とは?
「防災って大事だと分かってる。でも正直、めんどくさい…」


本日のテーマ!

1. 地理的背景:地震列島と多災害大陸

日本は「地震+水害」の複合災害が集中する国です。

  • 南海トラフ、首都直下、火山噴火

  • 豪雨・台風・土砂災害

一方アメリカは「国土が広すぎる」ため、地域ごとに災害が違います。

  • 東部:ハリケーン

  • 中西部:竜巻

  • 西部:山火事・地震(カリフォルニア)

👉 日本=全国共通の脅威に対応
👉 アメリカ=州ごとに全く違う災害に対応


2. 歴史的背景:戦後復興と冷戦構造

日本の防災制度は、戦後の復興と高度経済成長の中で整備されました。
特に阪神・淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)を契機に、法律や計画が次々と改正され、内閣府防災や自治体の仕組みが強化されてきました。

アメリカは違います。冷戦期、まず想定したのは「核攻撃」。
市民防衛(Civil Defense)としてシェルターや避難訓練が展開され、その後「自然災害にも対応できる仕組み」へと拡張。
こうして1979年に**FEMA(連邦緊急事態管理庁)**が誕生しました。

👉 日本=自然災害を軸に制度進化
👉 アメリカ=軍事防衛から民間防災へ転換


3. 文化的背景:集団主義と個人主義

日本は「共助」を重んじる社会です。

  • 自主防災組織

  • 消防団

  • 避難所での共同生活

アメリカは「自助」が基本。

  • 家族単位で1週間以上の備蓄を推奨

  • 教会やNPOが避難所や支援を担う

  • 銃社会ゆえに自己防衛意識が強い

👉 日本=「みんなで避難」
👉 アメリカ=「まずは家族を守る」


4. 体制の違い:司令塔は誰か?

  • 日本:内閣府や防災担当大臣が中心。複数の省庁を調整する「横断型」。

  • アメリカ:FEMAが大統領直轄で動く「一元型」。

👉 日本=調整型、アメリカ=司令塔型

この違いが、災害対応のスピードや責任の所在に大きく影響します。


5. 市民の認識の違い:72時間と7日間

日本では「72時間の壁」が一般的です。
一方、FEMAは “at least 7 days” の備蓄を推奨しています。

  • 日本:公的支援が比較的早く届く前提

  • アメリカ:支援は遅れる前提、だから発電機や大量備蓄

👉 ここにも「中央依存型」と「自助徹底型」の差が表れています。


まとめ:違いを知ることが備えにつながる

日本とアメリカは、地理・歴史・文化が違うからこそ、防災の姿も異なります。

  • 日本は「組織力と共助」に強み

  • アメリカは「自助と民間力」に強み

どちらが優れているかではなく、両方の長所を学び合うことで、より強い防災モデルを築けるのではないでしょうか。


🔜 次回予告

次回は 「FEMAと日本の防災組織──司令塔の違い」 に迫ります。
「調整型の日本」と「一元型のアメリカ」。
同じ“司令塔”でも、その役割はまったく違うのです。


🔖 参考・出典

  • 内閣府防災「防災担当の役割」

  • 災害対策基本法(e-Gov)

  • FEMA Official Website (Federal Emergency Management Agency)

  • Haddow, G., Bullock, J., & Coppola, D. (2017). Introduction to Emergency Management. Elsevier.

  • Tierney, K. (2014). The Social Roots of Risk: Producing Disasters, Promoting Resilience. Stanford University Press.


※これは筆者の感想ですが──
日本人の「共助文化」は農耕民族の歴史、アメリカの「自助文化」は狩猟民族の歴史を思い出させます。





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