日本の防災と海外の防災との比較ブログ!防災士、消防設備士、消防団員、 そして社会人大学院履修科目生として 知見を活かしながら防災の知恵を配信します
今回のテーマ!
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みのる防災 |
災害が起きたとき、人や社会がどのように対応するか──。
このテーマをもとに、今回は「海外 防災 取り組み」の代表格であるオランダを取り上げます。
オランダは「水と闘い、水と共に生きる国」として知られています。
その防災システムや都市設計には、日本をはじめ世界が学ぶべき知恵が詰まっています。
1.オランダという国の災害リスク背景
国土と水害リスク
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国土の3分の1〜4分の1が海面より低い。
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ライン川・マース川などが形成するデルタ地帯では洪水・高潮リスクが常に存在。
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1953年の「北海大洪水」で約2,000人が犠牲となり、国家防災の転機となった。
気候変動と新たなリスク
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海面上昇や豪雨強化など、気候変動が新たな脅威に。
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これに対応するため、国家レベルで「気候変動適応政策」が進められています。
2.オランダの防災・治水の取り組み
デルタ・プログラム(Delta Programme)
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洪水安全・淡水確保・空間適応の3本柱。
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「死亡確率1/100,000」など、定量的な安全基準を設定。
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法制度(デルタ法)により、毎年更新される国家計画として継続。
デルタワークス(Delta Works)
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ダム・防潮ゲート・堤防を組み合わせた国家的インフラ群。
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ハーテルケリングなどの可動式防潮門が代表例。
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生態系や漁業への配慮も考慮した設計。
自然と共生するソフト技術
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「ワイドグリーンダイク」:自然堤防+緩勾配構造で洪水エネルギーを吸収。
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「サンドモーター」:人工砂丘を海流で自然拡散させ、沿岸侵食を防止。
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ロッテルダムの「水広場」:普段は公園、豪雨時は貯水地になる都市設計。
危機管理と情報発信
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NCTV(国家危機調整機構)が災害対策を統括。
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「NL-Alert」で全国一斉の携帯警報を発信。
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各自治体・水管理機関(ウォーターボード)が地域レベルで対応。
3.オランダ防災の特徴と課題
強み
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ハード+ソフトの融合。
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長期的・法制度化された国家計画。
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防災と都市計画の統合。
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住民・専門機関・政府の三位一体の協働体制。
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洪水を完全に防ぐのではなく、“受け入れて被害を最小化する”哲学。
課題
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気候変動により想定外の豪雨リスク増大。
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維持管理コストの上昇。
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土地利用との摩擦(開発・農業・自然保全)。
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防災意識の地域格差。
4.日本との比較と示唆
項目 | オランダ | 日本 | 学びのポイント |
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主なリスク | 洪水・高潮 | 地震・豪雨・津波 | ハザード別の設計思想を学ぶ |
インフラ | 可動ゲート・自然併用 | 固定構造中心 | 可変設計・自然共生型の導入 |
都市設計 | 水広場・緑屋根・透水舗装 | 雨水貯留槽など限定 | 都市と防災の一体化設計 |
制度 | 国家法+年次更新計画 | 自治体中心 | 継続的見直しと横断的制度設計 |
社会参加 | 水管理機関+住民協働 | 自治会・自主防 | 分散協働モデルの応用 |
5.まとめ──“水と共生する防災”へ
オランダの「防災 海外事例」は、**防ぐより“共に生きる”**という思想を持っています。
日本でも近年、都市洪水や内水氾濫が増える中で、こうした柔軟で持続可能な設計思想が求められています。
「海外 防災 取り組み」を学ぶことは、災害を“敵”としてではなく“自然現象と共に生きる”視点を取り戻すこと。
普段から考えていること・・これが大きく反映されていますね
日本でも多くの川があります。参考になればと思います。
そして最後に、私の信念をもう一度。
「備えは愛だ!」