2025年10月5日日曜日

オランダの防災──“水と共生”する国の知恵を学ぼう

 日本の防災と海外の防災との比較ブログ!防災士、消防設備士、消防団員、 そして社会人大学院履修科目生として 知見を活かしながら防災の知恵を配信します

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オランダの防災──“水と共生”する国の知恵を学ぼう

今回は “海外 防災 取り組み” の観点から、オランダの防災(特に洪水・治水) に焦点を当ててみたいと思います。

「海外 防災 グッズ」や「防災 海外事例」といったサジェストキーワードにも興味を持っている方にとって、オランダの事例は有益な示唆を与えてくれるでしょう。


本稿では、オランダの地理・災害リスク、主要な防災・治水政策、都市レベルの工夫、そして日本との比較を通じた“学び”を提示します。


災害が起きたとき、人や社会がどのように対応するか──。
このテーマをもとに、今回は「海外 防災 取り組み」の代表格であるオランダを取り上げます。

オランダは「水と闘い、水と共に生きる国」として知られています。
その防災システムや都市設計には、日本をはじめ世界が学ぶべき知恵が詰まっています。


1.オランダという国の災害リスク背景

国土と水害リスク

  • 国土の3分の1〜4分の1が海面より低い。

  • ライン川・マース川などが形成するデルタ地帯では洪水・高潮リスクが常に存在。

  • 1953年の「北海大洪水」で約2,000人が犠牲となり、国家防災の転機となった。

気候変動と新たなリスク

  • 海面上昇や豪雨強化など、気候変動が新たな脅威に。

  • これに対応するため、国家レベルで「気候変動適応政策」が進められています。


2.オランダの防災・治水の取り組み

デルタ・プログラム(Delta Programme)

  • 洪水安全・淡水確保・空間適応の3本柱。

  • 「死亡確率1/100,000」など、定量的な安全基準を設定。

  • 法制度(デルタ法)により、毎年更新される国家計画として継続。

デルタワークス(Delta Works)

  • ダム・防潮ゲート・堤防を組み合わせた国家的インフラ群。

  • ハーテルケリングなどの可動式防潮門が代表例。

  • 生態系や漁業への配慮も考慮した設計。

自然と共生するソフト技術

  • 「ワイドグリーンダイク」:自然堤防+緩勾配構造で洪水エネルギーを吸収。

  • 「サンドモーター」:人工砂丘を海流で自然拡散させ、沿岸侵食を防止。

  • ロッテルダムの「水広場」:普段は公園、豪雨時は貯水地になる都市設計。

危機管理と情報発信

  • NCTV(国家危機調整機構)が災害対策を統括。

  • 「NL-Alert」で全国一斉の携帯警報を発信。

  • 各自治体・水管理機関(ウォーターボード)が地域レベルで対応。


3.オランダ防災の特徴と課題

強み

  • ハード+ソフトの融合。

  • 長期的・法制度化された国家計画。

  • 防災と都市計画の統合。

  • 住民・専門機関・政府の三位一体の協働体制。

  • 洪水を完全に防ぐのではなく、“受け入れて被害を最小化する”哲学。

課題

  • 気候変動により想定外の豪雨リスク増大。

  • 維持管理コストの上昇。

  • 土地利用との摩擦(開発・農業・自然保全)。

  • 防災意識の地域格差。


4.日本との比較と示唆

項目オランダ日本学びのポイント
主なリスク洪水・高潮地震・豪雨・津波ハザード別の設計思想を学ぶ
インフラ可動ゲート・自然併用固定構造中心可変設計・自然共生型の導入
都市設計水広場・緑屋根・透水舗装雨水貯留槽など限定都市と防災の一体化設計
制度国家法+年次更新計画自治体中心継続的見直しと横断的制度設計
社会参加水管理機関+住民協働自治会・自主防分散協働モデルの応用

5.まとめ──“水と共生する防災”へ

オランダの「防災 海外事例」は、**防ぐより“共に生きる”**という思想を持っています。
日本でも近年、都市洪水や内水氾濫が増える中で、こうした柔軟で持続可能な設計思想が求められています。

「海外 防災 取り組み」を学ぶことは、災害を“敵”としてではなく“自然現象と共に生きる”視点を取り戻すこと。

普段から考えていること・・これが大きく反映されていますね

日本でも多くの川があります。参考になればと思います。


そして最後に、私の信念をもう一度。

「備えは愛だ!」


🔖 出典・参考リンク


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2025年10月2日木曜日

日本時間で昨夜 22:59 頃!M6.9フィリピン・セブ沖地震と南海トラフ ― 同じプレートでも違う顔を持つ地震

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M6.9フィリピン・セブ沖地震と南海トラフ ― 同じプレートでも違う顔を持つ地震

1. 共通するプレート構造

今回フィリピン・セブ島沖で発生したマグニチュード6.9の地震と、日本で将来が危惧されている南海トラフ巨大地震。これらは一見「遠く離れた別の現象」に見えますが、実は同じプレートの動きが関係しています。

  • 日本の南海トラフ:フィリピン海プレートが、日本列島を乗せるユーラシアプレートの下に沈み込む境界。

  • フィリピン:同じフィリピン海プレートが、西側に広がるスンダプレート(ユーラシアプレートの一部)に押し込まれている。

つまり、どちらも「フィリピン海プレートとユーラシアプレートのせめぎ合い」という同じ構図にあるのです。プレートという“巨大な板”が大地震を生む基本原理は共通しています。


2. 違い ― 境界型と内部断層型

ただし、今回のセブ沖地震と南海トラフ巨大地震では、起きる仕組みが大きく異なります。

  • 南海トラフ地震(日本)
     → プレート境界型(沈み込み型)。震源は海底深く、M8〜9クラス。大津波を伴う典型的な「海溝型地震」。

  • セブ沖地震(フィリピン)
     → プレート境界からやや離れた「フィリピン移動帯」内部の断層が動いたケース。震源はごく浅く、都市直下に近い揺れ。M6.9という規模ながら建物崩壊や死者70人以上の甚大な被害に。

共通しているのは「プレートの運動が背景にある」という点ですが、その現れ方は違います。
南海トラフはプレート同士が正面衝突する“境界の歪み”
セブ沖はプレートの内部にたまった“ひび割れの解放”


3. 力学的な“つながり”はあるのか?

ここで多くの人が気になるのは「フィリピンで大きな地震が起きると、日本の南海トラフに影響するのか?」という点でしょう。

結論から言えば、直接的に連動することはほぼありません
フィリピン海プレートは確かに一枚の巨大な板のようにつながっていますが、応力(プレートにかかる力)は局所ごとに区切られており、数千km離れた別の地域をすぐに刺激することはありません。

ただし、重要なのは「同じ板に歪みがたまっている」ことを示す事例だということです。
イメージするなら:

  • フィリピン海プレート=大きな板

  • 日本(南海トラフ)はその板の東の端で沈み込みが進行

  • フィリピン(セブ沖)は板の中央部のひび割れが割れた状態

つまり、一枚の板に力がかかると、端でも中央でもどこかに“歪み”が表れてしまう。その現れ方が境界地震か直下地震かの違い、ということです。


4. 日本への教訓

今回のフィリピン・セブ沖地震から、日本人が学べる点は大きいです。

  1. 浅い直下型地震は都市に壊滅的被害を与える
     → Mw6.9でも、震源が浅く都市に近ければ甚大な被害となる。これは阪神淡路大震災(1995年、M7.3)や能登半島地震(2024年、M7.6)と同じ構図。

  2. 南海トラフと直下地震は別物だが、両方に備える必要がある
     → 日本では「境界型(南海トラフ)」と「直下型(首都直下・活断層型)」の両方の脅威がある。

  3. プレートはつながっているという意識
     → フィリピンも日本も同じフィリピン海プレートの影響下。地域ごとに違う形で災害が表れるが、本質的には「同じ板の上に住んでいる」という共通点がある。


まとめ

フィリピン・セブ沖地震と日本の南海トラフ巨大地震は、

  • 同じプレートの力学に起因しているが、

  • タイプは異なる(境界型 vs 内部断層型)

フィリピンの事例は南海トラフを直接揺さぶるわけではありません。
しかし、「一枚の板であるフィリピン海プレート全体に歪みが蓄積している」ことを改めて示したと言えるでしょう。

👉 そして日本は、南海トラフという“境界型”だけでなく、能登や阪神に見られるような“直下型”にも備えなければならない。
セブ沖の被害は、まさに日本にとって「自分ごと」として捉えるべき警鐘なのです。


主な出典/参照元

  1. PHIVOLCS(フィリピン火山地震学研究所)プレスリリース
     「PRIMER ON THE 30 SEPTEMBER 2025 MAGNITUDE (MW) 6.9 OFFSHORE NORTHERN CEBU EARTHQUAKE」 phivolcs.dost.gov.ph
     → 震源位置・深さ・震源断層の情報、余震記録などがここに報告されています。

  2. AP News(米国通信社)
     “Earthquake death toll rises to 72 in the Philippines as survivors recall moment when tragedy struck” AP News
     “Rescuers desperately search for survivors of earthquake in …” AP News
     → 被害状況、救助活動、被災者数とストーリー性のある報道。

  3. Reuters
     “Death toll from Philippine quake rises to 72” Reuters
     “It was love — Philippine family mourns daughter who died saving kin in quake” Reuters
     → 死者数・現地の様子などの速報性の高い報道。

  4. Time Magazine
     “Why the Latest Earthquake in the Philippines Was Particularly Deadly” TIME
     → 浅発地震・夜間発生など、なぜ被害が大きくなったかを分析した記事。

  5. Wikipedia(“2025 Cebu earthquake”)
     2025年セブ地震の概要、背景、余震・被害、断層帯との関係など広範な情報あり。 ウィキペディア
     ※百科事典として直接は最終ソースには使わず、元ソースを追って確認するのが望ましい。

  6. Al Jazeera
     “Death toll rises to 72 after powerful earthquake in Philippines” Al Jazeera
     → 被災者数、避難者数、損壊状況など。

  7. ガーディアン(The Guardian)
     “Philippines earthquake death toll rises to at least 69 as Cebu hospitals struggle” ガーディアン
     → 初期報道として使われることが多い。

出典一覧(フィリピン・セブ沖地震)

  1. PHIVOLCS(フィリピン火山地震学研究所)
     PRIMER ON THE 30 SEPTEMBER 2025 MAGNITUDE (MW) 6.9 OFFSHORE NORTHERN CEBU EARTHQUAKE

  2. AP News
     Earthquake death toll rises to 72 in the Philippines as survivors recall moment when tragedy struck
     Rescuers desperately search for survivors of earthquake in northern Cebu

  3. Reuters
     Death toll from Philippine quake rises to 72
     “It was love” — Philippine family mourns daughter who died saving kin in quake

  4. Time Magazine
     Why the Latest Earthquake in the Philippines Was Particularly Deadly

  5. Wikipedia
     2025 Cebu earthquake - Wikipedia

  6. Al Jazeera
     Death toll rises to 72 after powerful earthquake in Philippines

  7. The Guardian
     Philippines earthquake death toll rises to at least 69 as Cebu hospitals struggle



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